[雑記] 西武旭川店閉店に思うこと

[雑記] 西武旭川店閉店に思うこと

先日、旭川に帰省した際に、久しぶりに西武へ行った。つい最近、閉店するというニュースが出た、ある意味ホットな場所だ。

今も昔も変わらない

旭川駅から歩いて1分くらい。買物公園を南に歩くと左手に見えてくるのが西武旭川店。1975年にこの地に誕生して以来、変わらぬ佇まいで旭川市民を楽しませてきた、老舗の百貨店だ。


GFDL, https://ja.wikipedia.org/w/index.php?curid=550569

兄が猫の写真展のタダ券を持っているというのがあって、子供たちを連れて行ってみた。

https://www.sogo-seibu.jp/asahikawa/kakutensublist/?article_seq=171203

久しぶりに店内へ入ったところ、テナントはいくつか変わっているものの、くすんだ黄色のエレベーターだったり、地下食品街の通路のレンガに描かれた野菜の絵だったり、最上階につながる階段の装飾だったりと、僕が子供の頃から変わらない風景がそこにはあった。お店の人には失礼かもしれないけど、僕が知っているあの頃から、時間が止まっているかのようだ。

猫の写真は素晴らしかった。ただ、子供たちはざーっと見たらすぐに飽きてしまい、うろちょろしたあげく帰ろうと言い出した。猫は可愛いから食いつくかと思ったが、写真では足らなかったのだろうか。

西武旭川店は9月に閉店

今年の9月末には閉店するという。2008年のリーマンショックで経営が傾き、その頃にも撤退を考えたらしいが、向かいの丸井今井が2009年に撤退。これによりまだ持つかと運営を続けたが、旭川駅前にイオンショッピングモールが出来たことによって客先がそちらへ向いてしまい、年間売り上げが107億円と下落を止められず、今回の判断に至ったそうだ。

http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/economy/economy/1-0243754.html

昔は価値ある商品が百貨店にしかなかったから、黙っていても客の足は向いたものだ。しかし今は、先述のイオンに代表されるような、大型ショッピングモールの台頭。そして、ネット通販の浸透により、自宅にいても価値ある商品が購入できるような時代になってしまった。ショッピングモールは車で行ける場所が多いので、「行けば何かあるかな」という思いと行動がつながりやすい。ネット通販は言わずもがな、PCやスマホの画面一つで買い物が出来てしまう。「百貨店にわざわざ足を運んで」商品を見に行くというのは、もはや道楽に成り下がってしまったと言っても過言ではないと思う。

今はどこの百貨店も必死なようだ。他では買うことが出来ない、さらに価値のある商品を売り出したり、店舗とネットショップを融合して利便性を高めたりしている。後者については、西武の今の親会社であるセブン&アイ・ホールディングスがomni7(オムニ7)という名前で推進していて、要は店舗だろうがネットだろうが、どこで買っても消費者に共通かそれ以上の価値を提供しますよ、というものだ。だから、西武で買わなくてもネットに同じ商品を並べるだろうし、それをさらに近所のセブンイレブンに届けて好きな時間に受け取りに行ける、なんてこともやっている。つまり、親会社自身が、消費者のためにわざわざ店舗に行かなくても商品を買える工夫をしてしまっていると、言えるだろう。

※もちろん逆もしかりで、店舗で受けることも出来るらしいが、旭川に至ってはそれを実現するメリットは少ないだろう

こう考えると、旭川の西武が閉店するのは、どちらにせよ時間の問題だったのかと思う。店の中は時間が止まっていても、時代の流れは止まってはくれないのだ。写真展を見に行ったのは平日であったが、店内は閑散としていて、素人目に見ても、店員さんたちは暇そうにしていた。旭川市民の心情としては、西武が無くなるのは悲しいし、先日市長が東京の本社側に継続をお願いしに行ったというニュースも出ているが、あの店内の様子を肌で感じると、経営側の判断を覆すことは難しいと思う。

まとめ

今回の西武旭川店の例はあくまで一部で、これからさらに合理化が進んで、各地方都市のこうした店舗は姿を消していくのでは無いかと思う。ただ、こうした合理化は地方の特色を失わせてしまい、より活気が失われていく危険性も孕んでいるのではないだろうか。いち消費者の僕らがそれを阻止することは容易ではないけれど、なにかアイデアがあればいいのになと思った。

皆さんはこの件、どう思いますか?